うつ病の克服について ④「回復期」

東日本大震災を経て、自分の努力が誰の役にも立っていなかったことを実感しました。

 

僕がうつ病になるまでは、将来成功し、お金持ちになって名声を得ることができたら幸せになれる。という風に考えていました。しかし、夢をかなえる過程で幸せを全く感じず、むしろすべての選択肢が自分に跳ね返ってくる苦痛を感じていました。

 

人生の選択肢は常にY字路に分かれます。「自分のため」「人のため」という二つの選択肢がある中で、僕は常に「自分のため」という判断基準で行動していました。

しかし、「自分のため」に決めた選択は自信が持てず、行動している最中も「この判断でよかったんだろうか」という不安が常に付きまとっていました。そのため、なんとなく間違っていると感じたら躊躇し、悩み、行動が中途半端になり、また決断した位置に戻り、再度検討を繰り返すといった行動を繰り返していました。寝る時間を惜しんで行動しても、決断自体をやり直さなければならず、そこに費やしたエネルギーや後悔、反発は全て自分に跳ね返ってくることがとても辛かったと記憶しています。

優柔不断な上司の判断で、何日もかけて努力した行動した結果、根底から覆される状況を自分自身の中で作り出していました。行動した部下も自分であり、部下からの反発を感じる上司も自分であることの辛さが精神をおかしくしていったと思います。

 

これらは全て「自分のため」という判断基準がもたらした結果です。

 

「自分のため」という判断基準がもたらした結果と、東日本大震災で誰の役にも役立ってこなかった自分の事業を認識した時に、中村天風氏の「運命を拓く」という本に出合っています。

 

学生時代に哲学や精神分析などの本を読み、うつ病克服に向けた模索の日々にも禅や悟りについての本を読んでいますが、たまたま手にとったこの本を読んだ瞬間、この本で全てが解決すると感じました。山の頂上に向かうための、しっくりくる山道が見つかったという気がしました。

 

それまでは、禅であれば禅について書かれた本をくまなく読んで理解するというようなことをしていましたが、中村天風氏についてはこの本以外を読んでいません。この本を何度も読み返し、実践し、知識ではなく体感することでうつ病を克服しました。

 

この本は、宗教的な本です。

時代が違うため、話し言葉も堅苦しく感じます。

ただし、中村天風氏自身が死の病にかかり、病気を克服したのち、「人のために」私欲をすて行動した結果であり、その本によって僕はうつ病を克服し、また、その後の人生が楽になりました。

僕はこの本がしっくりきましたが、人によっては別のものでもいいと思います。知識として理解するだけでなく、体感できるまできちんと実践したいと思えるものに出会えることの方が重要です。